「非実在青少年」でオレが困ること
都の青少年育成条例改正案における「非実在青少年」の規制で何が問題になるかという点について、具体的に、自分が困るものが何かなということで、手元にある作品を挙げて検討してみた。
そもそもどんな話かというところを知らない人は、以下の記事を参考にして欲しい。
「文化が滅びる」――都条例「非実在青少年」にちばてつやさん、永井豪さんら危機感
れすきゅーME!
名前を出したついでに、今週購入したれすきゅーME!から。
清水さんに惚れて巻田佳春の単行本買ったら全部貧乳だったYO!ってことで、れすきゅーME!は貴重な1冊です。単行本を発行するまで、いちご休刊は断固阻止せねばと思っていたので、まずは一段落(何様
内容が萌え以外の要素が乏しく、この手のジャンルは存続が危ぶまれる。
多分、一般人の感情としては「なくなってもいい」に分類されるし、主張は理解できる。
返答は「だが断る!」の一択だが。
NIGHTMARE MAKER
同じく今週購入したCuvie*2のNIGHTMARE MAKER。
誰にも知られたくない願望をあぶり出す機械に翻弄される現実
表紙は綺麗な加工がされています。
ナイトメア・メーカー6話に読み切り作品2本と番外編を加えた一冊
欲に傾くのは当然だよね。もちろん、そこには性欲が含まれますよ。
で、夢か現かわからなくなるというのは必然。
こういった作品は、その性質上、性表現を行わないことが、逆に人の欲望という点で現実味が薄れ、チープな内容になる。
ドラえもんの道具にあった「もしもボックス」。ドラえもんに憧れていた少年少女の時代ではなく、成人になった現在に手に入れていたら、一体自分は何を願いますかね?
探偵作品において、緊張感を持たせるために殺人事件が欠かせないように、作品の世界観に深みを出す上で性的描写が必要になる作品もある。
ゲームに於いても、エロゲーに触れた当初、闘神都市IIやドラゴンナイトIVなどの作品で、その重要性を痛感した。
規制賛成派はこういった作品について、まったく考慮していないし、多分するつもりもないのだろう。
理解できない事は当然なのだけれど、それを排除しようとするのは見当違いではないだろうか。
ピアノの森
同じく今週購入したピアノの森。
作者は一色まこと(Wikipedia)
性的表現が薄いとはいえ、ストリップ劇場へ出入したりしてたし、眉をひそめる人もいるだろう。
正直、ピアノの森は文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞とか、大層なものをいただいてるので、大丈夫なんじゃないの?とは思う。
しかし、では何を基準に選ぶのかね?という恣意的な運用を鑑みる上で、本作を議題に上げる意義はあると思っている。
同様の理由で、ドラえもんのしずかちゃんの入浴シーンも大丈夫だろう。
というか、本件も藤子F不二雄先生が存命なら、真っ先に立ち上がってくれたことだろうなぁ。
乙嫁語り
あとは、手元にあるので、その辺にある目についたものから。
トップバッターは森薫の乙嫁語りである。
驚きの連続
続きが気になる!
なんと言っても絵!
作者の技量と、溢れ出る愛と情熱が凄い
ここが大事なんです。
もとい、この作品はとても大事なんです。
森薫が伸び伸びと描いている作品は、分野としては芸術と評するにふさわしいと思うのだが、いかがだろうか。
この作品がなくなったら、オレの森薫分が不足して死んでしまう。そう思わせる作品である。
んでは、どのへんが憂慮されるといいましょうか。
アミルは20歳と冒頭に書かれています。難癖つけるにしても高校生に見えるとかそれくらいが限度。
普通に考えれば大丈夫とお思いでしょう。
ところがどっこい。旦那が12歳なんだな、これが。
「非実在青少年」で大事なことは、男女問わず未成年と見られるものを規制するというもの。
カルルクが12歳である以上、規制の対象になるということ。
表現が萎縮し、伸び伸びと描けなくなってしまっては、本作の価値を大きく毀損させる。
森薫の作品は、森薫が自由に伸び伸びと描くからこそ、ここまで魅力的なのだと、そう考えている。
くだらない規制で余計な事をクリエイターに考えさせるのは好ましくない。
この観点が大事なんです。
World Embryo
続きを読んでの感想。
今後の展開に期待
待ちに待った新作
絵は上手いのだが・・・
棺守についてグロテスクな描写があるのは否めない。
タカオとか、活躍してるキャラは全部未成年だから、規制対象に成り得るよね。
まとめ
そんな訳で、リアルに規制対象であろうものから、規制を危惧されるもの、それによる表現萎縮が心配されるものなどを、手の届く範囲にあった本から挙げてみた。
本棚やダンボールに突っ込んでいる本でも、ここに挙げた以上に危ぶまれるものがあると思う。
その中には、後世に残すべきと思う名作も多々ある。
それが絶版にならないよう、憂慮している。
必要であれば、署名でもなんでも書こう。
実効性を検証していないデータに基づかない根拠なき表現規制で、どれだけの作品を貶めるか、それも考えて欲しいのである。
現実に存在する児童への暴力や性的暴力は、どんどん排除していけばいいし、青年未成年を問わず、強姦に対する刑罰をもっと強化すればいいとすら思う。
しかし、漫画・小説・ゲームなどの、実在しないキャラクターに規制を掛けることで、それが解決すると考えるのは、些か稚拙すぎやしないだろうか。
感情を以て排除するのではなく、憂慮すべき児童たちのために、何が最善かを、原点に還ってもう1度検討いただきたいのである。