値切るということ

以下のエントリで値切ること自体に否定的な人が居たのでちょっと一言。
今時値切るのっておかしい事?【働くモノニュース : 人生VIP職人ブログwww】

流通のしくみ

大雑把に書くとこんな感じ。


卸値:メーカーないし問屋から、小売店へ販売する価格
定価(希望小売価格):メーカーが顧客(エンドユーザー)に売って欲しい値段。卸値よりも高い。
売値:小売店から顧客(エンドユーザー)に販売する価格。通常、定価と卸値の間に設定されている(希少価値や見限りなどで例外あり)
売店:卸値と売値の差額で設けている

売店の利益

売店は売値が卸値を切らない限り、損をすることはない。
得をする額(利益)が減るだけである。
しかし、利益幅が余りに薄ければ、人件費とか店舗維持費とかを賄えず、手間ばかり掛かるから、商売を辞めてしまうだろう。
だから、小売店もある程度の利益が確保されることを前提に売る必要がある。

「値切る」の定義

値切るという行為は、小売店側の「ある程度の利益マージンを確保しつつ顧客に買って貰いたい額」と顧客側の「1円でも安く買いたい額」のせめぎ合いであるといえる。


しかし、「小売店に利益があること」が前提なのは言うまでもない。
値切るというのは、卸値よりも安く売れということではない。
これは大前提である。

ボリュームディスカウント

先のエントリにある1はボリュームディスカウントが適用されていると考えればわかりやすい。
商品Aの卸値と売値の差額(利益額)が\1,000とした時、顧客1は10個買うが、他の顧客は2個くらいしか買わないとする。
その時、顧客1が1個当たり\500まけろと言ったとする。
通常の顧客は店に\2,000の利益になる。
だが、顧客1は\500まけても\2,500の利益になる。
つまり、売上額、利益額共に顧客1の方が上なのである。


であれば、顧客1に\500まけてあげて、その代わり沢山買ってもらったほうが店の利益になる。
ボリュームディスカウント(沢山買う場合にまける)というのは、簡単に言えばこういう理屈なのである。


そして、お得意様というのは、定期的にその店に利益を提供してくれるありがたい顧客なのである。
実際、先のエントリにおいて、1は100万使ってると言ってるし、知り合いを紹介してくれたりもしてる。
店としても、こういう客は「太客だー」思ってるだろう。
末端の店員はまた来たかって思う人も居るだろうけど、管理職ぐらいになったら接客してないだろうから、売り上げを増やしてくれるいいお客さんでしかないだろう。

商品1個の利益なんて目先のことでしかなく、1年の売り上げなどある程度のスパンで考えたら当然の理とも言える。

値切ってみよう

そんな訳で、値切ることは悪いことではないし、その小売店のお得意様になる覚悟(毎回ここで買いに来ますよって意気込み)があれば値切ってみるのもいいのではないか。
売店との信頼関係を締結するためのステップだと考えてもいいだろう。

少なからずブコメにてid:appletriangle がマジコンと同一視しているのは的外れだと言わざるを得まい。

私の目安

私の場合、大体だけど「合計額が1万円以上」の時に値切ってみる。


まず1万円以下の場合、粘っても\100くらいしか下がらない場合が多く、粘る時間の無駄だからだったりする。
ただし、1万円以下の場合でも100点お買い上げとか、普通の人が買うよりも圧倒的に多かったりする場合には、交渉すると思う。


そして、交渉するときには、限界に挑むのではなく、自分の望む金額を言うことにしている。
合計額の端数\xxxを減らせませんか、とか、他店で¥xxxxで売ってたので、¥xxxxならここで買いたいなど。


そのほうが、「OK」or「NG」なので回答が早い。
NGなら諦めればいいだけである。諦めて言い値で買うか、他店で買うかは欲しいものの重要性によって変わるが、値切ることを諦めるという点では同じ。
先のエントリの1のように、1ヶ月もかけたりするのは多少やりすぎな感があるけれど、まぁ趣味なんでしょうね。

お金の哲学

別に定価で買うことは偉いことでもなんでもないと思っている。
ぽてちをコンビニで\150で買うのとスーパーで\128で買うのでは、後者のほうが支出が少ない。
であれば、極力後者を選ぶべきだとは思わないだろうか。


自分で働いて稼いだお金である。
使うときも大切に使いたい。
必要のない出費が抑えられるのであれば、積極的にそうしたいと思う。


「安く買う」という行為は、お金を大切に使うという行為でもあると思っている。
「高く買う」ことが悪いとも思わないが、安く買うことを馬鹿にするのもいかがなものかと思う次第である。